一人暮らしの方が引っ越しをするにあたって、一度は考えること。
「友達に頼んだ方が引っ越し代安く済むんじゃない?」
しかし、安易に友達に頼んで行う引っ越しにはそれなりにリスクが伴います!
プロに頼まないことでどんなリスクが発生するのか、実際のケースを参考にしつつみてみましょう。
ケース1:「エレベーターや廊下等に傷をつけてしまい、その請求額がとんでもないことに」
これは、女性の一人暮らしの引っ越しを、3人の男友達に手伝ってもらったというケースです。
「前に業者に頼んできてもらった時は、2人のかなり細い男性作業員が来たので、スポーツをやっている私の友達3人なら余裕だと思っていました」
このケースは、既に1回プロの引っ越し業者にお願いした経験がある女性にありがちな勘違いです。
運動している男性だから、筋肉があるから、重いものでもちゃんと運べると思ったら大間違いです!
引っ越し業者でバイトする人は全員「重いものをきちんと運ぶ講習」を受けています。
筋肉量の問題ではなく「重いものを運ぶ時のコツと注意点」を知っているか否かなのです。
そして、ドア幅ギリギリの冷蔵庫などを、これまた幅ギリギリの廊下を通って運び出すなどの場合は、経験豊富な先輩と一緒に働いて「こう運ぶんだ」と現場で教えてもらったことがあるから出来ることです。
それを知らないで、ましてや女性からの依頼で、自分以外にもライバル(?)が二人もいる状況の男性なら、後先のことを考えないでとりあえず良いところをみせたいと張り切ってしまうでしょう。
本人はキビキビ動いているつもりでもはた目から見るとただの「雑」でしかないことも、何も知らないからこそやってしまうかもしれませんね。
その結果、エレベーターや、マンションの共有部分に傷をつけてしまい、修繕費用を請求されて、プロに頼んだ方が圧倒的に安かったなんてことも起こり得るわけです。
この情報を送ってくださった方は、エレベーター内にあった鏡の部分を割ってしまい、それの修繕費と、工事中エレベーターを使えなくしてしまったお詫びとして、マンションの住人の皆さん全員に菓子折りを持って謝罪に行く羽目になったそうです。
総額13万円。敷金、礼金、仲介料を払ったあとで金銭的に余裕がなく、親に借りることにもなってしまったそうです。
ケース2:「力仕事だからと思って、体育会系出身の友達に引っ越しを手伝ってもらい、お礼に焼肉をおごったら、すごい勢いで飲み食いされてしまった」
引っ越し=力仕事。
これは間違いではありませんし、そのイメージが強いのも分かります。
ましてや、2回目の引っ越しだったらすでに家電などある程度そろえてしまっているでしょう。
それらを運べるような人物といったら、やはり運動をしている、ガタイが良い人を思い浮かべてしまう気持ちも分かります。
引き受ける方としても、「そんな大層な礼なんかしなくていいよ」と思っていても、実際にやってみると相当キツい仕事だということが分かるでしょう。
途中で「貴重な自分の休みを使ってまで、俺は何をしてるんだろう?」とさえ思えてきてしまうかもしれません。
そんな時に、「あー!もっと丁寧に運んでくれよ」「それはこっちに配置したいんだ。もう1回持ち上げて」なんて言われたらストレスだって溜まります。
最初は「礼なんていいよ」と思っていても、終わる頃には「それ相応の対価を貰わないと割に合わない」と思い出す可能性は多いにあります。
その人の人間性などは関係なく「対価を貰わないとやってられない」と思う方が自然なぐらい辛い作業なのです。
その後の「お礼」の焼肉やお酒などは、あなたが支払うべき対価であり、それがどれぐらいのものかは手伝ってくれた人が感じた「辛さ」によって比例します。
あなたの取った態度なんかも「辛さ」をはね上げてしまう要因の1つです。
「レンタカー代と合わせて、結局3万円近くかかってしまった。これなら業者に頼んだ方が安かったし、好き放題飲み食いする友達にストレスを感じなくて済んだなと後悔しました」
始めから「1万円で手伝ってくれないか?」など、「対価」の上限を「目に見えるもの」で決めておく方が得策ですね。
ただし、その場合でも、一緒にその後のみに行き「今日は俺のおごりでいいよ」と言ってしまう人も少なくありません。レンタカー代に、お礼の1万円に、飲み代。どのみちプロに頼んだ場合と変わらない金額になりかねませんね。
ケース3:「ブランド物のアクセサリーやカバンを盗まれた。けど、証拠がないので泣き寝入りするしかなかった」
この情報をくださった方は女性で、友達カップルに引っ越しの手伝いをお願いし、重いものは友達の彼氏さんが、退去前の細かい掃除などは友達さんがやってくれてとても満足していたそうです。
そして彼氏さんが実家から借りてきてくれた軽トラに荷物を積んでくれ、あとは新居に向かうだけという段階になりました。
そこで友達さんからこう言われたそうです。
「この車二人しか乗れないから、悪いんだけど、あなたは電車で新居に向かってくれる?ついたら電話するから」
情報をくれた方は何も不審に思うこともなく、「悪いけどお願いね」と言って駅に向かったそうです。
そして、それから数日後、ブランド物のアクセサリーやカバンがなくなっていることに気付いたそうです。
不運だったのは、彼女が引っ越しの翌日にはもう仕事が始まってしまうので、荷解きは生活必需品から優先していき、すぐに使わないものは週末まで後回しにしてしまったことでした。
友達さんに聞いても知らぬ存ぜぬで、むしろ「引っ越し手伝ってあげて、その上で泥棒の疑いまでかけられるとか散々なんだけど」と怒られる始末。
「その子が盗んだって証拠も、私が100%確実に段ボールの中に入れたって証明することもできないし、あきらめるしかできませんでした」
と、おっしゃられていた通り、お友達に引っ越しの手伝いをお願いした場合「万が一」が起きても自己責任でしかありません。
引っ越し業者に頼んでいればそもそも発生しない事件でしたでしょうし、ブランド物だけでなく「人を信じる心」という大事なものまで失うことにもならなかったはずです。
友達同士の助け合いの気持ちも大事ですが、金品などが絡む場合にはビジネスライクな相手に頼む方が色々と安心です。